アートを選んで飾る楽しみをもっと身近にするアートプラットフォーム〈conte〉がお届けする連載コラム「お部屋でアートを楽しむ人々」。このコラムでは、お気に入りのアート作品を購入して日常の暮らしの中でアートを楽しみ、彩りを持った生活を過ごしているアートライクな人たちのお話をお聞きしています。第4回目のゲストはファッションブランドでプレスのお仕事をされている知久友里恵さんです。本業のお仕事をしながら、Instagramで10万人を超えるフォロワーを持つインフルエンサーとしても大人気の知久さん(@chiku_y34)ですが、プライベートでは5歳と2歳の元気な兄弟のお母さんでもあります。仕事もプライベートも充実した毎日を過ごしている知久さんに、ご自身のライフスタイルに新しく取り入れた「アート」についてのお話をお聞きしました。
知久さんの初めてのアート体験を教えてください
― ファッションやメイクなどのお仕事に関わり、感度の高い毎日を過ごしている知久さんですが、これまでにアート体験で印象に残っていることはありますか?
知久友里恵さん(以下、知久):私は美術館とかにあまり行ったことがなくて、作家の方のこともほとんど知らないんです(笑)。私にとってのアートというと〈オシャレなもの〉というイメージです。機会があったら、いつか家に飾りたいなと思っていました。それで最近、思い切ってアート的な作品を初めて買ったんです。それが、このエルメスのヴィンテージ広告のプリントです。
― わ、かなりレトロな感じなデザインですね。
知久:1920年代とか30年代ぐらいの広告みたいです。エルメスのベースカラーにもなっているオレンジ色が印象的でした。当時から、この色が使われていたのには驚きました。馬のイラストもエルメスっぽいですよね。
― 普段からビンテージ的なデザインは好きなんですか?
知久:いえ、たまたま立ち寄った池袋の西武百貨店で「ユーロデコ」というヴィンテージ広告専門のギャラリーがポップアップ・ショップをやっていたんです。ハイブランドなエルメスって少し敷居が高い感じがしますが、やっぱり憧れはあります。私はエルメスのアイテムをひとつも持っていないんですけど、まずアートで一歩近づきたいなという気持ちも込めて買ってみました。
― アートを通して気になるブランドを身近に置く!!ですか。面白いアプローチですね。
知久:でも、まだ飾る場所を決めることができなくて、床に置きっぱなしなんです(笑)。
お子さんふたりが選んだ初めてのアート作品
― 知久さんはconteの作品もいくつか選んでお部屋に飾って頂いています。ふたりのお子さんと一緒に作品選びをしたとか?
知久:そうです。このトラの絵は長男が、たくさんの動物が描かれたカラフルな絵は次男が選びました。conteには、すごい数の作品があるじゃないですか。全部見ていたら選びきれないかなと思って、シーン別に分かれている「子供部屋」というカテゴリーを見ながら選びました。こういった感じで紹介されるのは、わかりやすくて助かります。長男はトラがカッコいいと言いながら選んでいました。次男はまだ2歳だから感覚的に選んだのだと思います。
― 子供部屋に飾っているんですか?
知久:我が家には子供部屋というものが特になくて、リビングの一角に設けたおもちゃ棚がある壁に飾っています。2人が選んだ作品がカラフルなので、小さいサイズでもインパクトがあってお部屋が明るくなった印象がありますね。あと、在宅で仕事をしている時に2つの作品がちょうど見えるところにあるので、子供たちのことを想う時間も増えたかもしれません。
― どちらの作品もモチーフが動物で、絵本から飛び出してきたような感じがあります。
知久:確かにそうですね。私は子供たちが寝る前に必ず絵本を読み聞かせているのですが、長男の時からの毎日のルーティンになっているんです。そうしないと、もう寝てくれない(笑)。だから、たくさんの絵本を通じて、いろんなタイプの絵は目にしていると思います。絵本の中でも動物や恐竜、乗り物をテーマにした作品が特に好きです。
― 様々なタイプの絵と接することのできる絵本は、お子さんのアート感覚を育んでいるのかもしれませんね。
知久さんが見つけたアートの「言葉」と「色」の楽しみ方
― 知久さんが選んだ作品について教えてください。
知久:いろいろ見た中でodakanaさんの作品に惹かれました。絵も好きなんですが、作品のキャプションコメントも素敵で、この『each』という作品を選びました。シンプルな手書きの絵がすごくいいなと思ったのと、コメントにある「進み方は人(犬)それぞれ」というの言葉が最高です。私自身がそういう考え方で生きていることもあり、共感してしまいました(笑)。全体的な絵のバランスも面白いし、可愛いし、そこにちゃんと想いも込められた作品というのが気に入ってます。
― 確かに、言葉を重ねて眺めて見ると楽しくなりますね。クスっとするようなコメントもあるし(笑)。
知久:odakanaさんの絵は、どれも好きです。「ハプニングも楽しめるように」というコメントのあった『happening』も良かったです。この言葉も、私がいつも思っていることなので共感してしまいました。最終的にこの2点で迷いました。
― 作品を選ぶ上で言葉も大事なんですね。
知久:コメントを書かれていない作家さんもいましたが、私としては言葉がある方が選びやすかったですね。作品にもう一歩近寄って理解できるというか、買ってみたいという気持ちを後押しされる感じがあります。
― この作品はどこに飾ったんですか?
知久:玄関に飾っています。家を出る時、『each』に書かれている「GO」という言葉を見ると、「よし、いってきます!」と元気に出かけることができます(笑)。来客があった時も、何か目に留まる作品があるといいかなと思っていたので、ピッタリだと思います。
― アート作品を取り入れて、生活に何か変化を感じましたか?
知久:生活にアクセントが生まれましたね。私もそうですが、子供たちにとっても何気なくアート作品が目に入るだけでも、ちょっとした刺激になっているような気がします。そしてアート作品が部屋にあると、間違いなく華やかになります。
― conteではいろんな人にアートをもっと手軽に、そして身近に感じてもらえればと思っています。初めてアートを購入してみようという人に、知久さんからアドバイスがあればお願いします。
知久:アドバイスですか(笑)。私もアート初心者なので難しいですが、なんだろ・・・。色が大事かもしれないですね。
― 色ですか?
知久:ファッションだとカラフルな色って、実はあまり選ばれない傾向にあるんです。例えば5色のTシャツがあったら、白や黒、グレーだったらすぐ売れるけど、黄色とかピンクって残ってしまうんですね。いろんな色のファッションを楽しんでみたい気持ちはあるけれど、やっぱり定番カラーを選びがちになってしまうことが多いのかなと思います。でも、アートはもっと気軽に色を選べるじゃないですか。例えば、気分を明るくしたいからピンク色の服を着てみようとなると勇気がいるけれど、アートで彩りを取り入れてみるのって簡単に挑戦できるじゃないですか。そんな感覚でアートに触れていくといいんじゃないかなと思います。
― 色を基準としてアートを日常に取り入れるって、知久さんらしい発想ですね。確かに作品のテイストは違うけど、同じ色のイメージで作品が飾られているとか素敵です。
知久:部屋に飾っていたらオシャレだし、視覚的にも慣れていって、自分の中に違った色を取り入れていくきっかけ作りにもなるのかなという気がします。やっぱり身の回りに彩りがあると素敵ですもんね。
お子さんと一緒にアートライフを始めた知久さんのお話はいかがでしたか。アートは描かれている絵だけではなく、「言葉」や「色」にも目を向けることでより楽しく、より自分らしい楽しみ方ができるのだなと感じました。また、お子さんとの作品選びも楽しそうです。「子供たちの描いた絵も額装して飾ってみたら、立派なアート作品になりますね」と話していた知久さん。家族みんなで楽しめるアートライフをこれからも見つけていってください。
この記事で紹介された作品
進み方は人(犬)それぞれ
日常で出会う風景や出来事を、シンプルかつキャッチーに、ユーモアを交えた独自の視点で描くイラストレーター、odakanaの作品。
クライアントワーク多数。adieu(上白石萌歌)の配信シングルのジャケットとMVのイラストも手掛ける。
マーチングバンドがやってきたよ。
こちらはトランペッターのトラ。
サクマユウコは、野生動物を主に描く、絵描き/デザイナー。カラフルだが甘すぎない温かみのある表現で多くのファンを抱えている。
横浜の3つの動物園、ズーラシア、野毛山動物園、金沢動物園のカレンダー等も手掛ける。
ペインター/イラストレーターとして活躍するワタナベリョウの作品は、誰もが持つワクワクとした子供心をくすぐる作風が魅力。
絵画教室の講師もしながら、精力的に作品を発表している。