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「アートは自分にとってなくてはならない暮らしの一部」―― VRデザイナー鶴田洸之さんの胸躍るアートと過ごす日常

アートを選び飾る楽しみをもっと身近にするアートプラットフォーム 〈conte〉がお届けする連載コラム「お部屋でアートを楽しむ人々」。このコラムではお気に入りのアート作品を購入して、日常の暮らしの中でアートを楽しみ、彩りを持った日々の生活を過ごしているアートライクな皆さんのお話をお聞きしています。第1回目のゲストは建築CGやVRコンテンツ・キャラクターデザインのお仕事をしている鶴田洸之(つるたひろゆき)さんです。「アートは自分にとってなくてはならない暮らしの一部」としてアートを楽しむ鶴田さんのアートライフを紹介します。

初めてのアート体験を教えてください

― リビングのほかにも玄関、キッチンなど、目を凝らすとアートなものがたくさん飾られた素敵なお部屋ですね。まるでミュージアムみたいです。最初にお聞きしたいのが、鶴田さんがアートと触れた原点はなんだったのですか?

鶴田洸之さん(以下、鶴田):小さい頃から、両親が美術館によく連れて行ってくれました。いまでも覚えているのが『グッゲンハイム美術館展』という企画展です。そこでゴッホなどの有名な名画にたくさん触れ、自分の目でアートを見ることの楽しさみたいなものを、幼いながらに感じていたような気がします。小中学校では美術部に入りました。ろくろとか窯とか設備が充実していたので陶芸などもやったり、木材を使った作品なども作ったりしていました。創作することの楽しさも経験しました。

― 小さい頃からアートに触れる機会に恵まれていたんですね。アートの道に進もうとは思わなかったんですか?

鶴田:アートではなく、プロダクト・自動車のデザインの勉強をして、いまは建築CGやVRコンテンツ・キャラクターデザインの仕事をしています。何かを作る!という点では繋がっているような気がします。

そんな鶴田さんがアート作品をご自身のライフスタイルに取り入れるきっかけは何だったんでしょう。

鶴田:アート作品を購入するようになったのは、一人暮らしを始めてからなので最近なんです。それまでは「見て楽しむ」ということがメインで、企画展で販売されているポストカードやグッズを買って満足という感じでした。それが自分の部屋を持って、大きな壁を眺めていたら「何か飾りたいな、そうだ絵を飾ろう」という気持ちが湧いてきたんです。そこでまずは、自分がデジタルで描いた絵を大きく引き伸ばし、額装して飾ってみることにしました。自分が描いたものを飾るってあまり好きではないんですが、白い壁になじんですごく雰囲気が良かったんです。自分が作ったものが好きになれた瞬間が生まれたというか(笑)。

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鶴田さんが描いたバッグの絵はキッチンスペースに飾られていました。

それから、いろんなアーティストと出会うアートの旅が始まったんですね。いまはどんな頻度でギャラリーに行かれていますか? 

鶴田:月に10本前後の企画展に行ってますね。見る作品のタイプも異なるので、いつも違う刺激も受けますし、そこで出会ったアーティストさんの他の作品も深く知りたくなりましたね。

そんなに行かれているんですか!最初に購入された作品はなんだったんでしょう? 

鶴田:作品の価格ってすごく幅がありますよね。最初は自分で手が出せる金額の範囲の中で始めてみようと思ったんです。そこで出会ったのがミヤザキコウヘイさんの作品でした。遠目から見るとデジタルで描かれたようにも見えるんですけど、この魚ひとつひとつの愛らしさを持つキャラクター性が可愛いと感じ、色もパキッとして塗りが綺麗だなという点に惹かれ購入しました。

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ちなみに金額はどれぐらいだったんですか? 

鶴田:これは3万円か4万円ぐらいでしたね。 

初めて買うときは勇気が必要ですよね(笑)。 

鶴田:ですね(笑)。それまでは服が好きでかなりお金をかけていたんですが「コートを買うのをやめて作品購入に充ててみよう」と振り切ってみました。 

胸躍るアートと過ごす日常はいかがですか?

いまお部屋に飾ってある作品について教えてください。白根ゆたんぽさんの作品がまず目に入りますね。

鶴田:このシンプルさが、逆に印象が強いですよね。ゆたんぽさんの作品は女性がメインなんですが、目が点として、女性らしいボディラインが1本の線で描いているんです。また裸の絵とかもあるんですけど、いやらしさをまったく感じさせないんですね。そんなキャラクター性に惹かれます。

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一番上に飾っているのがakaさんです。青モチーフの作品はプリントですが、赤モチーフの作品は原画です。肌のグラデーションのほか、女の子の髪や服などもほぼべタ塗りされていて、ぱきっした印象がすごく綺麗だなと思います。その一方で訴え掛けているような目の表情とかものすごく好きです。

中村桃子さんの作品は人物と花をモチーフにしているものが多いんですが、その表現が独特なんです。人の身体から花や植物が生えている表現は可愛らしくも、おどろおどろしくもありますよね。なにか想像力をかき立てられます。一番下のは自分の自画像です。すごく特別感があります。 

口から植物が飛び出し頭に入り込み、耳から出ていくというなんとも言えない表現ですね。鶴田さんに感じたインスピレーションだったんでしょうか(笑)。

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鶴田:すごいですよね。自画像ということもありますが、人と花の持つ生命力の強さみたいなものを感じる、とても好きな作品です。

絵以外にも立体的な作品もありますね。

鶴田:これは木工アーティストEMUさんの「黒板こけし」です。なんでも実家が造船所らしくて、そこから出た廃材を使い表面に黒板塗料で塗装しているんです。木で作られているんですが、なにかソフビ人形っぽいですよね。

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床に置かれているのは、犬のようにも、狼のようにも見える少し大きなアート作品ですね。

鶴田:まるで、この部屋のシンボルのようになっています。

山根大典さんというアーティストさんで流木で立体的な造形物を作られています。これはボルゾイという犬をモチーフとして、流木をそのまま使ってペインティングしている作品ですが、流木の凹凸が重なることで表情が豊かで躍動感が生まれています。

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― 鶴田さんがアートと過ごす生活を始めて、何か変化は生まれましたか? 

鶴田:何より華やかになりましたね。朝起きて最初に目に入るところに作品を飾ってあるので、気分が上がります。「生活が豊かになるっていうのは、こういうことなのかな」とすごく感じます。まだ壁にも余白があるので、作品はもう少し増えそうです。

conteで出会ったアートを楽しむ新しい体験

― 初めてconteでプリント作品を体験してもらいました。鶴田さんが選んだアーティストさんはご存じだったんですか? 

鶴田:いえ、今回conteさんのサイトで始めて知ったTOMMYさんという方の作品です。どの作品にも人が小さなモチーフで描かれているんですが、それに対比して広がる風景がすごく大きく見えるんです。小さな作品なのに、その風景全体を想像させられます。また、雲や色合いなどを詳細に描くわけではなく、デフォルメされているところも面白いなと思いました。 

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― TOMMYさんの個展などあったら行きたいと思われました? 

鶴田:ぜひ、行きたいですね。魅力あるアーティストの方を知ることができました。

― conteはアート作品をもっと手軽に楽しんでもらえたらという想いでも生まれたサービスなんですが、実際に使われてみていかがでしたか。 

鶴田:原画はとても高額なので簡単に購入はできませんよね。そこでプリント作品が選択肢に入るんですが、部屋に飾りたいけど手を出しにくかった人は、アートを購入する導入の部分として非常に良いサービスだと思います。 

― これからconteに期待することってありますか? 

鶴田:サイズが選べるのはとても良いですね。欲を言えばもう少し大きなサイズがあって、壁にその作品だけドンと飾れるようになってもいいなと思いました。 

― ありがとうございます。それでは最後にアート作品を買ってみたいなと思っている人たちにメッセージをお願いします。 

鶴田:原画とかプリントとか関係なく、まずは何かひとつでも気になった作品を飾ってみたらいいんじゃないかなと思います。そして壁に飾ったその作品を見て、何でもいいので感じ取ってもらうのが一番です。少しでも良いなと思えるのであれば、そこから少しずつ視野を広げられると思います。

この記事で紹介された作品

美しい海や自然をモチーフに、シンプルで洗練された景色を描くTOMMY。
微細な濃淡で描かれる空と海の青は、作品の世界に大きな広がりを見せる。
インテリアにも馴染みやすく、スタイリッシュな作品。

TOMMYの作品一覧

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